当院を知る1分間ストーリー
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01.入院室を一番大事にするワケ
当院を現在の場所に建てた時、入院室から病院づくりを進めました。
診察室や手術室、待合室などの大きさや場所を最初に考えそうなものですが、当院ではそうしませんでした。
入院室にこそ、こだわっています。
動物病院の入院室は、奥まったところにあり、薄暗くて、というようなイメージがあるかもしれませんが、そうはしたくありませんでした。飼い主様から離れる時間は、動物たちはきっと寂しい思いを抱えているはず。だから、寂しい思いや不快な思いをできる限りさせないために、まずは入院室の構想から考え始めたのです。
もし、自分の子が入院していたら、どうしてあげたいでしょうか?
いつもより狭い空間で、自由に動けないのだから、
せめて、緑を見せたい。
せめて、少しでも快適に過ごしてもらいたい。
そういった思いから、犬と猫の入院室を分けてストレスを与えないようにしながら、入院室を取り囲むように木を植えました。本当は植樹をせずに病院を広くする方法もありますが、私たちにとっての正解はこの形です。
入院室内では、診察中であっても、常時二名のアニマルケアスタッフが動物のお世話をしています。
体調のチェックをしたり、お薬やご飯をあげたり、清掃を行なったりと、少しでも快適に過ごしてもらうために、可能な限り看護に力を入れています。アニマルケアスタッフには「入院した動物が、自分の飼い犬、飼い猫だと思って接して下さい」と伝えていますが、自分で看護計画を立て、積極的に動ける自慢のスタッフばかりです。
また、看護にじっくり取り組める人員配置を行なっています。
それにより、入院室を含むバックヤードには余裕が生まれます。その空気感を飼い主様に察していただき、退院後に飼い主様より、入院中の看護について感謝の言葉を頂くことが多くあります。私たち(特に主に看護を担当するアニマルケアスタッフにとって)これほど嬉しい言葉はありません
「入院中の動物たちの機嫌が良い」
このことを目指し、今日も動物たちと向き合います。
02.前を向いてもらうための考え方
生きるものは、必ず最後には亡くなります。
気付いた時には病気が進み、手の打ちようがない場合もあります。
どれだけ最先端な治療を施そうとも、現代医学では治療は難しい。
飼い主として、できる限りのことはやってきた・・・
そういう時に、私たちは「もう打つ手がありませんね。」と悲観しません。
――私たちならこのように考えます。
重たい病気と闘っていると、飼い主様は悲しく辛い思いばかりになってしまいますが、
その子と過ごしてきた時間は、温かく幸せな時間のほうが多かったはずです。
私たちができるのは、飼い主様の心を軽くすること。
飼い主様が前向きであれば、その子にきっと何かプラスの影響があるはずです。
飼い主様の心が軽くなったことで、ご飯を以前より食べられるようになったワンちゃんを実際に見て来ました。「今日は食べられるんやなあ。よかったなあ」と言ってナデナデできればお互い幸せだと思います。
アニメ・漫画が流行した鬼滅の刃の登場人物の一人である「煉獄杏寿郎」さんが共感できる言葉を言っていますので、最後にご紹介します。
(映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」中の台詞より、抜粋)
老いることも
死ぬことも
人間という儚い
生き物の美しさだ
老いるからこそ
死ぬからこそ
堪らなく愛おしく
尊いのだ
強さというものは
肉体に対してのみ
使う言葉ではない
愛情を持って最期まで飼い主様と一緒にいられれば、動物たちは幸せなんです。
03.自然体でいたい院長の思い
(以下、院長談)
以前の私は「院長像」について、
「専門技術を身に着け、次々に新しく難しい治療を出来なければならない」
というイメージを持っていました。
そのため、一次診療を行いながら大学病院の研修医をしたり、近年では獣医師になりたての頃より尊敬する先生のもとで、2次診療病院での高度医療の研修プログラムに参加させて頂き、獣医師として多くの経験や知識を得ることができました。
以前よりも優秀な獣医師に成れているはずなのに・・・
納得のいく「院長の姿」を目指しながらも、何かにストレスを感じていました。
ある時、私は気付きました。
「自分は背伸びをして、大きく見せたかっただけなんだ。演じていたのだ。」と
それぞれの獣医師にとって、あるべき獣医像は異なるはずなのに、私はその尊敬する先生に近づこうと、一生懸命に「憧れの獣医師像」の仮面をかぶりつづけていたのです。
そこから考えは180°変わりました。
院長だからといって肩肘張らず、自然体で接する。
誰が偉いわけじゃない
スタッフに甘え、飼い主様をも頼る
自分が信じる医療を、嘘の無いように誠実に生きる。
――肩の力が抜け、ありのままの自分で動物といられるように戻ってきました。
最近、動物が可愛いんですよね!!